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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

水先案内人

2005.07.13

大航海時代の帆船であれ、現代の船舶であれ、命令は一つで、その時、全員が動く。
その緊張感は今でも脳裏の中に、その臨場感を感じることが出来る。
とても古い記憶ですが、素晴らしい体験でもある。

陰鬱な驟雨(ガルア)に二万トン近い船体が包まれる船首楼(オォックスル)はその輪郭のみに留めているが、唯一レーダーマストに掲げるパイロット旗(フラッグ)「H」が、時折軽い突風に透けて見えることがある。速度制限で十二ノットまで減速した船橋(ブリッジ)内はもの静かで、振動も殆ど感じない。当直中(ワッチ)の三等航海士(サード・オフィサー)と三等操舵手(クォーター・マスター)は、この驟雨(ガルア)のために等間隔に囲いのあるレーダー・スクリーンを覗き込んでいる。ここは東京湾である。世界で有数な船の出入りが多い「浦賀水道」である。
驟雨(ガルア)は夜明け前に野島崎の灯台を認識し、船首を回頭する頃から視界を遮る様になった。その濃度は回転窓から船首用意(スタンバイ)のために配置(アサイン)に付いている一等航海士(チーフ・オフィサー)の姿さえ捉えることが出来ないほどである。

東京付近にある港に入港するには、この浦賀水道を通過(パス)しなければならない。水道には、入船用と出船用の上下二本の航路(コース)が開発されており湾内にある二つの海堡といくつかの青と赤の浮標(ブイ)で識別される。水道を利用する大小様々な船は一日に数百に達することもある。その全てを剱崎にある第三管区所属の巨大なレーダーで監視している。水道内を通過する全ての船舶は、十二ノット以下の船速と追抜きに禁止が定められている。
驟雨(ガルア)が濃い為に浦賀水道直前から乗り込んできた水先案内人(パイロット)は、船橋の両翼(ウィング)を行ったり来たり忙しなく水道の通過を緊張の面持ちで望んでいる様だ。
突然「ビーブ」音が鳴り「第三浮標(ブイ)通過!!」の声が拡声器から流れ、静かな船橋に緊張が走る。
水先案内人の指示で三等航海士の「左舷一杯(ハード・ポート)、機関中速(ハーフ・エンジン)」号令が響く。数秒後巨大な船体は機関の軋む音と共に飛沫を上げながら傾き始める。
巨大な船体は一定の推進力を得ると自らの慣性の法則により、よりスピードを増しながら「中ノ瀬航路」へ入っていく。本船は船速を航海速度まで上げ事前に港湾地図(ハーバーチャート)の示された地点まで進む。中ノ瀬を抜けると機関を停止し、水先案内人は軽く手を上げながら船橋を降りる。緊張が遠のいた顔だ。同時にパイロット・フラッグ「H」が下ろされ、若手のセーラーによって綺麗に畳まれる。
その後微速前進を続けながら、検疫投錨地へとゆっくりと向かう。
「機関停止!」「投錨!」の号令が幾度となく繰り返され、アンカーによって行き脚をゆっくりと止められた本船は、やがて喫水を深々と沈め検疫錨地に静かに横たわる。
やがて、レーダーマストに検疫官を呼ぶための黄旗(イエロー・フラッグ)が掲げられる。
既に陰鬱な驟雨は姿を消し、輝く日差しが濡れた甲板(デッキ)を照らしている。
当直士官から「解除」命令が出されると本船にまたもや静けさが感じられるようになる。

時代が変りITの世界で過ごした時間のほうが遥かに長くなりましたが、古き良き時代をすごした記憶は鮮明に懐かしく残っています。

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コメント

木田さん。久しぶりです。お元気そうですね。一別依頼です。あれは確か2004年でした。お会いしたいと思っていました。僕のメールに御連絡ください。

投稿者 わたなべ はるみ : 2007年06月18日 11:25

ヒルズでの大晦日が忘れられず、もっと大きく羽ばたくためにメトロ東京へ戻ってきました。
いつの日か、シャンパンを片手に、この夜景を眺めながら一時の栄華を楽しみたいと思います。実現するかな、壮年よ、大志を抱け!渡辺さん、海藤さん、お元気ですか?
木田です。こんなところへ書き込んでしまってすみません。

投稿者 木田 勝 : 2007年06月05日 18:04

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