Brainsellers.com

Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

接客と魅力

2007.10.26

お能の「謡曲」や舞台衣装である「装束」等に興味を持ち、ここ数年古本屋で古書を買い漁る事が楽しい時間となりました。
そんなとき時々洋画家の世界もちょっと覗いたりします。
中には魅力的な芸術家にも出会いますが、ここに紹介するひとは芸術家ではありませんが型破りに魅力的な人物です。
彼の名は「ジョゼフ・デュヴィーン」という英国の画商です。
画商は大体二つに分けることができると思いますが、ひとつは、無名の画家の才能を見出し、これを世に出すというタイプと、
もう一つは、評価の定まった著名な画家の作品だけを扱うタイプです。
ジョゼフ・デュヴィーン」はこの後者で著名になった画商です。

彼は1939年に69歳で世を去る前には、「ミルバンク男爵デュヴィーン卿」の称号得ているほど後年著名になりました。
後で知りましたが、美術を目指す人でジョゼフ・デュヴィーンを知らない人はいないそうです。それにボクが読んだこの本は、米国の美術大学の授業の副読本としていることがよくあるそうです。

デュヴィーンの母国であるイギリスの美術専門家よる彼の評価は、「デュヴィーンの美術にかける情熱がはるかに知識を上回っている」ということであるらしい。画商である彼にとってうれしい評価ではありませんが、しかし彼にとってはそんなことはどうでも良いことかも知れません。
ともかくデュヴィーンは人一倍の美術かける「情熱」を維持し、画商としての手腕を発揮したわけですが、その当時のやり方としては型破りだったようです。

大切な顧客のためとなれば、デュヴィーンはおよそ何でもやりました。
莫大な富を築き上げた米国人たちは一応にひっこみ思案で、且つ、その富ゆえに予期せぬ出会いに疑いの眼を向けがちです。ヨーロッパ等へ訪問しても何処に行き、何をしたらいいのか分からないという人々に、デュヴィーンは例えば貴族の館に招待するようなアイデアを提案します。そのアテンドは目立たない所にもきめ細かな配慮がされており、訪問そのものを引立てます。その金持ちはそれだけで、十分満足し、当然彼に好意を持ち、少しずつ気を緩めていくとうものです。

例えば、彼のやり方をあげると、
裏から手を回して満員の高級ホテルの部屋の予約、
満席の客船に空部屋を用意する、
顧客に代わって好みの家の購入交渉と手続き、
新築の家を作るために優秀な設計者の手配、
花嫁の引き合わせや花婿の紹介、
等々、画商の範疇を超えた私利を押し込めた真摯な「接客術」を行います。
もちろん、花嫁や花婿の結婚式等も肉親顔負けの愛情のこもった結婚式も演出しますし、内装を任せられたデュヴィーンは設計者には沢山の絵画を掛ける広い壁を組み入れる依頼も施主に代わって(?)したりしました。

反面、他人の都合なとお構いなしに癇癪玉を爆発させもします。
この手の順当な性質かも知れませんが、自分の望みのものを手に入れるまでは、発作的に熱中し、激しく限りない情熱を燃やし続けます。
似ている人は沢山いますね。
しかし、デュヴィーンを知れば知るほどその「接客術に魅力」感じます。
彼の接客術は、
まさに「One To One」ビジネスの真髄です。

先日、諸先輩と銀座のレストラン「ダズル」というお店に行きました。
ボクらのテーブルは若い女性が担当しましたが、それがとてもすばらしい接客でした。
後日、外食産業に詳しい知人に聞くと、
この店のコンセプトは「コンテンポラリー」だそうです。
古き良きものに日々生きた感性を交えた料理とサービスを用意する」を日々の活動の軸に置いているそうです。

彼女のワインの説明やその日の料理やアラカルトや我々四人の食べる量と好き嫌い等を話していると、
ジョゼフ・デュヴィーンの接客術を思い出しました。
そこで感じたことは、
「もはやレストランの立地、店内の雰囲気、腕のいい調理人、食材の厳選やおいしさだけでは『十分でなく』、
そこに働く接客担当のウェイトレスやウェイター(今ではこう呼ばないのかもしれませんが)の『人柄』が、お客様の満足度や次回リピートを左右する決め手」になったと。

最近聞いたお話で、
「販売スキルの高いベテラン販売員よりも、よりお客様に好かれる人柄を持った若手販売員の方が好成績を挙げている」という事例です。
まさに、販売力や営業力のほかに「人間力」といった様なその人の魅力が必要になって来たということでしょうか。
外食も含めてサービス業の中で勝ち抜くには、なくてはならない「戦力」となりつつあるようでね。
その『人柄』による接客の魅力は、多分「感性」が必要なんだと思います。

昔は物がない時代でしたから百貨店のごとく「品揃え一番、安さ一番」が支持されきました。
でも今は飽食、物余りの時代です。
「さらにもうひとつ」や「さらに高価なもの」を選んで頂くのは、
お店の雰囲気や品質のよさや価格の手ごろさのほかに、
「買ってみたい」と思わせる感性豊かで魅力的な接客術が必要なんでしょう。

先のデュヴィーンの接客術も彼の型破りな魅力が大きな要素となっていると思いますし、
接客担当のウエイトレスに好感を持ったのは、この「ダズル」というお店の経営者が時間をかけて社員の教育を戦略的に、
魅力ある社員の質が、レストランの利益の根源である」という基本を躊躇なく実践しているという、その信念に凄さを感じます。


ブレインセラーズ・ドットコム株式会社
PDF電子帳票作成システム biz-Stream
リッチクライアント FacerLite
ブレインセラーズ・ドットコム株式会社のセミナー情報

コメント

コメントしてください




保存しますか?


 

Copyright(c)2005 brainsellers.com Corp. All rights reserved.