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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

「早く」決めた者

2007.10.19

ヨーロッパの港の中で、思い出と情緒さにおいて「リスボン」は格別です。
当時から石畳みの坂の多い港町でした。現在は大規模な港湾都市に成長しています。

アプローチは大西洋からテージョ川へ進みますが、大海と境が無いほど川幅は広く壮大です。当時は橋は一つしかありませんでした。
昔は「サラザール橋」と呼ばれていましたが、現在は「4月25日橋(1966年完成)」とか。ずっと後の1998年に斜張橋の「ヴァスコ・ダ・ガマ橋」が三角江の上を通っています。名前の由来についての説明は不要でしょう。彼が苦難の末インドに到達してから500周年の記念だそうです。

テージョ川を少し上り、客船バースの手前に来ると「ベレンの塔」と「発見のモニュメント」が視界に入ります。青い空に白い二つの塔が良く映えます。
「ベレンの塔」はマヌエル様式というのだそうです。かなり以前に世界遺産に登録されています。
「発見のモニュメント」の下に「方位盤」が刻んでありますが、本来はモニュメントの上部から下を望むことでその意味が理解できます。

テージョ川の河口に建てられたこの二つの記念碑をご覧になった方は古きよき時代のリスボンの国力を感じるでしょう。


  〔発見のモニュメント〕

意思決定を「早く」決めた者には多くの可能性と時間の猶予が与えられる。

その観点でエンリケ航海王子を見ると、
彼は最初は小さな資本で、
徐々に投資対効果を確認しつつ、多くの可能性を見出した事になります。

エンリケの財産基盤は当初は小さなものでした。
最初の光明はポルトガル対岸の「セウタ攻略」からです。父王のジョアン一世は、この攻略に三年の準備と多額の借財をする事になりますが、戦闘はあっけなく一日でセウタを攻略してしまいます。(その後が大変ですが)

エンリケはセウタ攻略の先鋒を務めており、この快事により騎士に昇格し、且つ当時イギリスから導入したばかりの公爵制度のポルトガル版での最初の公爵位の「ヴィゼウ公爵」に任ぜられます。そして、成人を迎えた14歳から与えられていた土地に加えて「コヴィリャン領主」にもなるのです。
この攻略によって、セウタはアフリカ世界で唯一「キリスト教」を信奉している都市となり、当時のローマ教皇庁に絶大な信頼を寄せられます。そのことも理由としてエンリケはリスボンに滞在したまま、「セウタ防衛最高責任者」の任命をあわせて受ける事になります。
さらに、
父王のジョアン一世によりテンプル騎士団の後継である「キリスト騎士団長」をも拝命する事になります。
ここから「エンリケの転機」が現実のものとなります。

彼は早く意思決定することで得られた、
優位性をドンドン発揮し、父王の三男でありながら絶大な資産を背景に新規ビジネスをドライブしています。
そして、転機をうまく活用し、その輝かしい生涯を終えるまでに多くの資産を手に入れます。
◆ヴィゼウ地方のワインの販売特権と市場開催権(ワインの売る日や税)
◆テージョ川流域の王領地の木材伐採権
  (木材は用途が多く船の材料、すべての食物の貯蔵用樽の材料など)
◆石鹸の製造販売権(長い間独占権を持っていた)
   (石鹸が実用品と捉えられる時代はまさに15世紀)
   ・エンリケが作った石鹸がヨーロッパを駆け巡った?!
◆漁業権(特にマグロ魚独占権)
   ・このころからマグロといわしは庶民の蛋白源でした。
◆珊瑚の独占採取権
◆アザラシの事実上、独占権(石鹸の原料です。製造権もあるし。)
◆最後は悪名高い「奴隷売買」です。

しかし、エンリケは地位や土地や利権を得る中で極めて「特殊な文化」を醸成して行きました。
それは、
彼に従う騎士や従者は本来は馬と楯によって敵と渡り合い、命を張り合い名誉を重んじる騎士という身分にありながら、わずか50トン程度の帆船に未熟な操船技術で、未知の海原に乗り出しだすことにしたのです。
それによって、
アフリカの新しい土地や島々を発見し、
時には海賊として働き、
現地の商人とビジネスを行い、実利を求めていきました。

それは、15世紀、貴族が商業に従事して利益を得るというようなメンタリティは無い時代に変化に富んだ活動を行うことにより、結果的に初期の大航海時代を推進して行ったと言われています。

エンリケはどの様に、活動した結果、当初予想していなかった「誤差や間違い」を修正していったのでしょうか。次回はその辺から。
「発見のモニュメント」の説明もしないと。

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