BrainSellers.com

Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

選択肢への助走

2007.10.16

数日前に「高祖劉邦」とその宰相蕭何(しょうか)の話をブログしました。

面白いことに、秦を滅ぼした漢の宰相蕭何が最初に行ったのは秦の始皇帝が作成した膨大な「地図」を接収する事から始まりました。政策を打つ上でも、軍事的にも民事的にも必要だったのでしょう。

ところで、海図は、船が航行するときには無くてはならない物ですが、現代においては海図といえば「海上保安庁刊行」の航海用海図をさします。そして、{Map}も{Chart}も地図のことをいいますが特に海図や航空図の場合にはChartが一般的です。毎年ハワイで長躯のトレッキングをしますが、やはり手に持つのはMapでした。
海と陸では時折面白い違いがありますね。

人間が船を作り出し海に出るようになったのは、はるか紀元前の時代と言われていますが、現代の人から「海図」として認められる内容のものは、羅針盤の出現以降となります。羅針盤が発明された13世紀のころから、ヨーロッパでは、航海者のために港や港から港の航海のためのマニュアルを作成しました。
このマニュアルを「港湾誌(ポルトラノ)」といいます。この説明書の付図として航海用の地図が添付されるようになりました。
この海図を「ポルトラノ型海図」といます。
この海図には現在のような緯度経度も水深もありません。
あるのは、「海岸線」と「沿岸の地名」と「32方位の線」が記入されています。
この「32方位の線」が重要なんです。
ポルトラノの特色は、海図上にいくつかの中心があり、
その中心に方位盤を置き、その中心から放射状に32本の方位線を伸ばします。羅針盤の東西南北を32に分割した結果と同じ方位が得られるわけです。
これによって、
「この方位を基準にしてラダー(舵)の角度を切れば自身の港から目的の港に到達できる」と言う訳です。
が、そんな簡単ではありません。
地上を進むわけでなく、風と海流と夜間という前提が崩れる要素の中を舵角のみでは到底目的地に進む事は至難の業です。
きっと当時の船乗りは、長い間の経験とノウハウでこのポルトラノを活用したのでしょう。

下の海図は現存するポルトラノ型海図の「ピサ図」です。名前の由来は分かりません。


現在のChartの基礎になった「メルカトル図法」による近代的な海図の出現は1600年頃です。
約300年くらいはこのポルトラノで船乗りは荒波を乗り切ったのです。

最近では、とってもハイテクになっています。
電子海図表示装置(ECDIS)と航海用電子海図(ENC)の組み合わせにより、データベースから必要な海域データをロードする仕組みです。IT関係者からすると至極当たり前の考え方です。
常に白いキャンパス〔ディスプレー〕に進むべき海域の海図を描くというわけです。
この電子海図にGPSなどの船位測定装置からの位置情報を付け加えると、常に自船の位置を中心とした海図情報がキャンバスに現れているわけです。
勿論、レーダーと連動した衝突予防のシステムがあれば、自船との関係を遠くから把握し、進路を決定できます。
当時の船乗りが見たらなんと言うでしょうね。

 

Copyright(c) BrainSellers.com Corp. All rights reserved.