akikoと杜甫
2005.11.02
春望(春の望〔なが〕め)
国破れて山河は在り
城は春にして草木深し
時に感じて花もそそぎ
別れを恨みて鳥も心を驚かす
烽火〔ほうか〕は三月に連なり
家書は万金に低〔あた〕る
白頭の掻きて更に短く
渾〔す〕べて簪〔かんざし〕に勝〔た〕えざらんと欲す
この有名な八行詩は「杜甫」が46歳の時に歌った漢詩です。彼は千五百首ほど残していますが、この詩はその中でも良く知られている詩です。今から1300年程前の時代のひとです。杜甫は唐の代表する詩人として著名ですが、唐の時代そのものが中国の古今を通じて最も偉大な詩人を排出していると言われています。
「国破れて山河在り」の「国破れて」を今まで全く別な意味として捉えていました。国学に強い知人よりそれが間違いであったことを知りました。国破れては「敗戦」の意味ではなかったのです。なので「破れて」と書きあえて「敗れて」では無かったのです。国破れては、国家の機構が解体し、ぼろぼろの状態を現しているのだそうです。破と敗とは同じく「やぶれる」と和訓しますが、断固として異なるそうです。納得です。
この詩も彼のたくさんの詩もその全体に「憂愁」に富むのは気質でしょうか、時代背景でしょうか、それとも彼の不遇さを象徴しているのでしょうか。
何れの詩にもその「憂愁」の雰囲気が漂っています。
でも、彼の世の中の不合理や不公正に対する真摯で誠実な憤りを「命がけ」で表現される詩には全ての人の心を打つ強さを持っていると思います。
アフリカで生まれ米国で育ったジャズも全く同様にその「憂愁」を感じさせる音楽です。
杜甫の漢詩もジャスも多くの人の心を「打つ」ということでは、同じ「詩〔うた〕」として捉えることが出来ると思っています。
知人より衝撃的な一枚をまた紹介頂きました。
「シンプリー・ブルー」 〔simply blue〕
2005/6/22 RELEASE
今回のアルバムも前作同様、人気DJ・須永辰緒プロデュースです。前2作の『ムード・スウィングス』と『ムード・インディゴ』をAmazonでオーダーすることにしました。
ジャズとPOPの境界を自由に行き来する柔軟な彼女の音楽性は業界で高い評価を得ているそうです。
コンセプトは「SWING」です。
確かに全曲スィングしています。
機会あれば一度「生うた」を聞いてみたいものです。
このアルバムは、
今年3月に横浜のジャズ・クラブ 「Motion Blue yokohama」の3日間出演したライヴからベスト・テイクを収録したそうです。最も観客の声や音は全くしません。
選曲はきっと悩んだと思いますが、とってもシンプルなアコースティックのピアノ・トリオをバックに、有名スタンダード・ナンバーを中心に歌っています。
なのでヨケイにスィングできます。
また、このライヴの為に書き下ろした彼女のの新曲も3曲収録されています。
彼女の伸びやかな歌声を堪能できるアルバムといえます。
ジャス先輩と今度B&Sに出演したら聴きに行こうと思います。
mood indigo「ムード・インディゴ」
produced by Tatsuo Sunaga
Mood Swings「ムード・スウィング」
produced by Tatsuo Sunaga
「シンプリー・ブルー」 〔simply blue〕
曲目
01)レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス
Let's Face the Music and Dance (Irving Berlin)
02)スピーク・ロウ
Speak Low (Kurt Weill/ Ogden Nash)
03)セイム・オール・グルーミー・ソング(新曲)
Same Ol’ Gloomy Song (akiko)
04)オールド・デヴィル・ムーン(初出: 4th album "Mood Swings")
Old Devil Moon (E.Y. Harburg/ Burton Lane)
05)ブルース No. 8(初出: 2nd album "hip pop bop")
Blues No. 8 (akiko)
06)ウィスパー・ノット
Whisper Not (Benny Golson/ Leonard Feather)
07)ドゥ・ユー・ノウ?(初出: 2nd album "hip pop bop")
Do You Know? (Yoshito Tanaka/ akiko)
08)ナイト・アンド・デイ(初出: 1st album "Girl Talk")
Night and Day (Cole Porter)
09)ノット・ラヴァーズ、オールウェイズ・フレンズ(新曲)
Not Lovers, Always Friends (akiko)
10)ウィッシュ・ユー・ワー・ヒア(新曲)
Wish You Were Here (akiko)
akikoと杜甫