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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

ベンチャー投資の先駆け

2005.09.04

奇貨居くべし』〔きかおくべし〕

歴史小説を好んで読んでいます。中国の紀元前2-8世紀から紀元後数世紀を多く読んでいます。特に最近読んでいる作家は宮城谷昌光氏の小説です。その中でまだ手を付けていない題名の小説があります。それが冒頭にあるタイトルです。先日著名なベンチャー・キャピタルの若手の投資家にお会いし、当社の事業内容を説明した後『奇貨居くべし』でしょう? と冗談を投げると「ポカン」という反応でした。当方の冗談の投げかけを反省したエピソードです。

『奇貨居くべし』〔奇貨可居〕「史記」

宮城谷昌光氏の小説「奇貨居くべし」は当然ながら主人公が居ます。秦の始皇帝を<見出し><磨き><天下を統一>させた呂不韋(りょふい)です。時は戦国末期。韓の豪商呂不韋は商いで邯鄲(かんたん)によく出かける。そこで偶然「秦の太子安国君の庶子」である「子楚(しそ)」が人質としてこの都に住んでいることを知ります。当然庶子で人質であれば暮らしぶりはラクでしはないでしょう。そこで呂不韋は『奇貨居くべし』と感じ子楚に会うのです。『奇貨居くべし』は「掘り出しもの、取っておけば後々高値になる」といった意味です。呂不韋のすごい所はその財産と雄弁さでついに不遇な一介の庶子を「太子」にさせる事に成功するのです。この太子・子楚こそ始皇帝(秦王政)の父王なのです。この小説はまだ僕は読んでいませんが呂不韋が秦王政を育て、中国統一し、自身は「相国(宰相)」まで上り詰めるという内容です。
「子楚」という「奇貨」は呂不韋の手元に置かれ、ついには大高騰してしまうのです。まさしくベンチャー投資の先駆けです。IPOで大化けした最初の事例かも知れません。

辺土の秦が戦国末期とは言え「大国」を切り取り「中国統一」を成し遂げられたのは呂不韋や秦王政の力ではなく、春秋戦国時代からの非常な努力と長い改革の歴史を乗り越えた準備が合ったからなんです。この長い準備のおかけで僅か10年足らずで統一に驀進するのです。

実は、宮城谷昌光氏の小説に「青雲 はるかに」という題の小説があります。氏の小説は多く読んでいますが、その中でも好きな小説の一つです。主人公に引かれとても感銘をうけた記憶があります。戦国時代の貧家の三男に生まれた「范雎(はんしょ)」が苦難の末、秦の昭襄王に見出され、やがて宰相となります。そして、紀元前260年に白起将軍を趙に進行させ、長平で趙軍を撃破します。更に紀元前255年に完全にを滅ぼしてその領地を接収します。「青雲」とは「学徳の高い人」という意味だそうです。また、「俗世間を離れた生活」という意味もあるそうです。

また、范雎を起用した昭襄王のおじいさんにあたる孝公(25代)は、広く人材を求め、そして商鞅を抜擢します。抜擢された商鞅はそれに答え行政制度の改革・什伍制の採用などを行い、秦を強力な中央集権体制へと生まれ変わらせ国内の生産力、軍事力を飛躍的に高め徐々に他の六国を圧倒していくようになります。

この様な長い年月を基盤整備と組織改革に費やし、その生産力(戦はお金)と革新的組織の軍事力で何度も挑戦的なM&Aを行い、秦王政のIOP局面まで歴代の王が布石になって秦と言う国を育て上げるのです。
全く企業と同じロッジクです。

 

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