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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

料理の極意

2005.07.09

『料理はその土地の環境で育った食材をその土地の空気の中で作って食うのが一番だ!!』ゴテゴテ、手を加えんじゃぁなくてさぁ、素材の良さを真摯に受け止め、最低限の手を加えて出す。
「これだよ。料理の極意は!」 と仕事人は真っ直ぐ僕を見て「ニーッ」と笑う。
昨夜、暖簾も腕も器も約一世紀続いた老舗の香りを漂わせるオーナー仕事師の前に座る。
仕事人の姿勢が自然に僕の文体にも現れるのは致し方ないとお許しあれ。

今日のテーマは、
「頸木(くびき)が無くなって気力も体力も充実! 本当の人生はこれから!!」。
こう語る元上司は、自らの半生と第二の人生を熱く語りました。
場所はいつもの『木挽町・萬久満(まんくま)』(現在は銀座)である。

元上司は大手商社に三十五年勤め、自らの意思と希望と志により今月退職する。
頸木は、その大手商社の「髪の毛からつま先」まで浸み込んだ重厚で強靭な「タガ」の事である。
「タガ」は完全に外た。
昨夜お逢いするほんの少し前に奥様とご夫婦で水入らずのイタリア・ツアーから戻られたばかりである。あの英国のテロにもう少しで遭遇するタイミングだった。
リフレッシュもされ、これからやるべき内容もきっちりと固め、とても若々しい落ち着いたお顔であった。
元上司は、非常に柔らか頭で、浮き沈みによる経営も経験し、言わば現役プロである。これからの彼のテーマは、「医療と福祉」であり、人生の折り返し地点からのライフワークとなる。
その為に余暇の殆どを費やして大学院で学位も取り、この方面に伝を求めて多くの人にお会いした。
出航準備も整え、今月末から第二の船出を切ることになった。
「五十にして天命を知る。
六十にして耳順(みみしたが)う。
七十にして心の欲するところへ従へども、矩(のり)を踰(こ)えず。」の論語の様に。

当たり前のことだが、我々は過去を振り返ることで未来を構想する。僕の属する会社はIT業界の中で、
革新的なソフトウェアを自ら開発し市場に投入しているソフトウェア・メーカーであるが、この概念から抜け出ることはない。
何故かと言うと凡人であるからである。僕らは過去のソフトウェア技術を見つめ返すことで未来の技術を過去の延長線上として、
構想するからである。我々は「今を生きている」が、常にその想像力は「いま」に囚われる。
彼の話に戻すと、彼がこれから取り組む「医療と福祉」は行政機関と切っても切れない関係ある。
「医療と福祉」については全くの門外漢であるが、その意味で我々が生きるITの世界よりその道のりは長くて厳しいと想像する。
行政システムを時間軸で捉えると、まず、政権の歴史はせいぜい数年間の事である。また、体制の歴史は数十年の単位であるが、国家の歴史はかのローマ帝国を例に挙げずとも数百年レベルの話である。行政も国家レベルの時間軸と思う。確かに「医療と福祉」は今後、行政からの分離が少しずつ地域に根ざし、「地域システムとこれを支えるインフラ」によって確立されるかも知れない。
いずれにしても元上司の辣腕が地域システムに心血を注ぐのは少々先の事となりそうだ。

「料理の極意もビジネスの極意も相通ずるものである。」でしょう戸田オーナー!!

極上のお食事とオーナー仕事師の心遣いを堪能した後、
いつもにこやかで飛び切り美人の千恵ちゃんの入れてくれたお茶を飲んで、帰途に着く。
元上司とは今後の人生、トコトン付き合う積もりだ。
そういえば、萬久満(まんくま)の由来は明治の元老・大隈重信公からの拝命とオーナー仕事師の御母上より、キリッとした江戸弁で丁寧に説明を受けたことがある。あれは確か8年前の木挽町でのことだったと記憶がある。

あぁ。おいしかったぁ。また来ようっと。

 

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