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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

美味しい魚が食べられなくなる?! 萬久満の戸田さん語る。

2005.12.03

『築地の仲買問屋がね激減しているんだよ。
問屋がなくなると「新鮮で美味しい海産物」が手に入らなくなるよ。
ご家庭ではスーパーでお魚を買うよね。街の魚屋さんがなくなっちゃったから。東京の小料理屋や居酒屋も仲買を通さず直接買うよね。どんどん仲買問屋が廃れています。美味しいお刺身食べれなくなるよ。』と、萬久満の戸田さんは憂いを含んだ声で話し出します。
生産地から巨大資本が直接買えば安くて入りますが、市場へは切り身となってサランラップに包まれた味気ない「お刺身」を手に入れることになります。「あれはぁ刺身じゃあないからねぇ」と戸田さんは言う。

徳川家康が秀吉の命を受けて江戸入府と同時に彼は「駿河」から多くの職人を一緒に引き連れてきました。特に「白魚」が好物であったので摂津の国佃村の漁師・森徳右衛門を呼び寄せ白魚の漁場開拓を命じたそうです。白魚は旬を過ぎると群れを成して川に入り、葦や水草などに卵を産み付けると、雌は死んでしまい、雄は卵が稚魚になるのを見けてから死ぬ性質を持っています。誠に健気な子孫継承です。その徳右衛門さんグループが住んだのが現在の「佃島」という訳です。入植にあわせて苗字帯刀を許し、漁業権も与えたそうです。かなりの特権という事になりますね。勿論その周辺にも太田道灌時代の漁師もいた訳ですので、いろいろゴタゴタが長く続いたようです。先住民を蔑ろにするといいことはなりません。徳右衛門さんは同時に摂津の住吉神社の分社もしています。現在もその場所は変わりません。この徳右衛門さん達が取った「白魚を含めたお魚」をお城に献納したそうですが、あわせてその残りを売り捌く特権も得たそうです。そのために「市場」を作ったそうです。その地は現在の日本橋を挟んだ両岸で、これが現在の築地市場の始まりです。日本橋の両岸は長く活用していましたが、関東大震災で現在の築地に移転を余儀なくされたそうです。
よく日本食のお店で「河岸(かし)」という言葉を耳にしますが、この日本橋の両岸が起源だそうです。言葉には常に歴史的背景が潜んでいますね。家康はもともと健康と質素を愛しながら「美食家」で知られていますが、江戸前のお魚を特にお気に入りだったそうです。彼の政策のお陰で「築地市場」も「江戸前寿司」も発展したのでしょう。

戸田さん。歴史を感じますね。そして、ずっと新鮮で「本物」の美味しいお魚を仕入れ続けてください。お願いします。

以前母に聞いた事があります。和食店で食べる「煮付け物(煮魚)」が田舎で母の作る「煮付け物」と格段に味の違いがあると。すると、母は一言「鮮度よ」と回答しました。子供の頃から食べている煮付け物の味に中々東京で出会う事がありません。
その理由が母によって判りました。とても簡単なことでした。
母は田舎の風習どおり煮付け物は「その日に水揚げしたお魚」しか使わなかったのです。簡単に言えばお魚を「煮る」には飛び切りの鮮度が必要だったと言う事です。一度冷凍したお魚の煮付けは僕には食べる気がしません。食べたとたんに判ります。
逆にお刺身は釣ったその場で食べても美味しいと思いますが、これは「うまさ」というよりは「新鮮さ」や「臨場感」でそう感じるのではと思います。それよりも数時間置いた後、更には翌日、更にもう少し置いて翌々日(きっちり鮮度を保ちながら保管が必須)に食べるとまろやかさが増す場合が多く、母は「婆さま」から教育された通りに上手くコントロールして僕らに出していたんでしょう。

さて、冬のこのシーズンは何を食べても美味しい季節ですが、春になる手前までの「寒鰤(かんぶり)」がこたえられません。鰤の捕獲は古典的な漁法で、定置網を鰤が回遊するであろう位置にセットしてひたすら迷い込むのを待ちます。鰤の巣立ちはルートはいくつかあるようですが一つは日本海の対馬周辺と言われています。ここで稚魚になり、北上し、四年程度で産卵のために秋から冬に南下します。この季節の鰤が一番美味しいのです。一方日本海ルートを通らない鰤は太平洋沿岸に接近します。大島沖から相模湾に回遊してきます。勿論産卵です。春になると鰤は痩せて皮と身の間に「サシ」という虫が入ると聞いた事があります。ですからこの時期の鰤は食べません。

萬久満では戸田さんの後輩でもある食通の伊藤洋一(経済評論家)さんとよくお会いします。伊藤さんは週に一度は寄るほどの常連で、そう言えばB&Sでもばったりお会いした事もあります。
戸田さんは「ウコン・ハイ」を飲んで肝臓を保護し、僕は毎日「ウコン・カプセル」でストレス!?で萎む肝臓を激励しています。今度は「寒鰤」の美味しいときに寄りましょう。

 

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