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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

右か左か、どちらか。

2009.08.03

エアライン出身の知人を数名存じ上げている。
先日、楽しい話題で盛り上がりました。
私の利用した全ての飛行機は、空港に着陸し、完全に停止すると乗客は我先に前に詰めて一刻も早く機内から外へ出ようとします。日本人も中国人も韓国人も米国人も西欧人も、みんな同じ行動の様な気がします。それを彼に話したら、世界中同じだそうです。
どの国も人も、どのエアラインのどの飛行機も、同じ現象だそうです。ビジネスもエコノミーも同じというわけです。これは、どんな心理状態なのでしょうか?
しかし、どんなに急いでも出口は一箇所か、せいぜい二箇所です。二箇所の場合は、一つはビジネスクラス専用の出口となるで、エコノミーはその恩恵には預からないでしょう。
今度は、彼が質問しました。
実は飛行機の出口は、常に左側です。まれに両サイドから乗客を降ろす特殊な場合がありますが、一般的には左です。その理由を知りたいと。
なぜ僕に聞くのといったら、なぜって、飛行機は船の制度を取り入れているから、答えを知っているでしょうっと、間髪いれず返ってきました。さすかだ。
そうなんです。
交通手段としての「船」は歴史が古いので、その後開発された乗り物は、ほぼ船の制度を基本に取り入れています。現代でもその制度によって、その名残が色濃く残っています。

船の右側を"スターボード"といい、左側を"ポート"といいます。
昔、バイキングの時代に活躍した北欧船では、舵を構造上に右側(右舷側)の船尾に取り付けていました。右側は"スターボード"です。語源は、舵のある側、または舵を取る側と言う意味で「スティア+ボード」で、すなわちスターボードとなりました。なので船を岸に着ける時に、舵を壊さないために、常に左側を陸に接岸する必要があった訳です。また、左側(左舷側)はポートです。これも陸上への門または港という意味を込めて、ポートと呼ぶ様になりました。飛行機には舵に相当する尾翼がありますが、船の様な舵はありません。ても、この名残の為に飛行機の出口は左側のみとなった訳です。船は英語ではシップ(ship)ですが、パイロットの中には飛行機をシップと呼ぶ人もいるそうです。蛇足ですが、飛行船や宇宙船も同様ですね。

そして、ここにも右か左かを海の向こうで論じている人たちがいます。

昨今、自民党にとって見通しはとても暗いと思われます。
社内で立ち話を聞きましたが、都議選は「民主党」に投票したという人が、多いもの納得できる現象です。民主党は、参議院選挙で地滑り的に勝利した機運を、そのまま東京都議選でも維持したようです。そして、初めて第一党の地位を獲得したことで、その勢いを感ずることができます。次は総選挙です。但し、麻生さんが口癖のように言う「選挙はやつてみなければわからない。」ですが、この先、民主党のスキャンダルが出てこないとも限りませんので、それはやって見なければわからないでしょうね。
あくまで、選挙は結果です。
とはいえ、すでにワシントンは次の総選挙で野党が勝利して、民主党政府が出来る事を予想した手を打っているようです。政治アナリストの見方は、民主党政権が樹立しても、オバマ政権は自信に満ちた態度で、米日同盟が確かなものであることをに、変わりないとコメントすると言われています。日本の現政権に対して、米国は日本重視の姿勢を明確に打ち出しています。ヒラリー・クリントン国務長官は、日本をアジア戦略の「コーナー・ストーン(要石)」であることを宣言し、就任後初の公式訪問国を日本としました。なので、日本が日米同盟を堅持する限り、米国の姿勢にそう大きな変化はないと言わています。

ただし、現在海の向こうの彼らの注目しているのは、民主党の実力の様です。その一つが移行計画です。私たちがビジネスするITの世界で、移行ほど厄介で気を使う案件はありません。そこには独特の要素があり、業務経験と移行の十分なノウハウを持った精通者をアサインしないと自ずと埋もれた地雷を、踏むことになります。
この移行という作業は、どのシーンでも同様な基本要素があるように思えます。
米国は大統領就任まで大規模な移行チームが、事前に十分に検討された項目をもとに十一週間かけて、新政権の政策を準備するようです。長く政権を維持した自民党は、トップの交代のみで主義・主張が変わるわけでないので、必要ありませんが、民主党は米国並みと言いませんが、わずか数日で、この試みを実施しなければなりません。閣僚人事も合わせてです。これはとんでもない量を数日でこなす訳です。ワシントンが自分の事のように心配する気持ちが理解できます。
さて、鳩山政権への移行計画は誰が起案し、実施に移すのでしょうか? それとも、そもそも移行計画は無くて、数日間缶詰になって、集中して、ぶっつけ本番でビシバシと決めていくのでしょうか?気になるところです。

二つ目の危惧は、日米同盟のすでに公言している劇的な政策変更を本気で実施する「覚悟」があるかということでしょう。この覚悟は少々厄介ですよ。

彼らは、今まで自民党に対して政策上の多くの論点を展開しています。たとえば、在日米軍の「思いやり予算」の削減、米軍基地の在り方を取り決めた日米地位協定の改定問題、核兵器に関する機密文書の公開、海兵隊のグアム移転計画、自衛隊のインド洋の給油船の配備問題、アフガン派遣等々、のことです。これらは当然、民主党を支持する人たちには、一定の満足が得られた主張だと思われますし、政府を窮地に追い込む論点としては、有効なテーマであることは確かです。でも、これをどうしましょうか?
ひとつでも真面目に、取り組むと日米間の関係を、危機に落とし込む内容に発展しそうです。
米国としては、どれも過敏に反応する項目ばかりです。さて、困った。

三つ目は、日本国民もみんなが思っている疑問です。
政権樹立後、どのくらい持つの? という素朴な疑問です。
ここでワシントンのオバマさんのスタッフは「蘇る細川政権」を思い出ことでしょう。93年のことでしたね。当時米国は、クリントン政権です。細川家の御曹司である「細川護煕」さんの政権ができた時、ワシントンでは大きな変革の時代が到来すると位置づけ、日本は再スタートを切ったのだと感じたらしいのです。当時日本国内でも一部そんな感覚であったかも知れません。
しかし、たったの一年で自民党が政権を取り戻しました。その記憶がよ・み・が・え・るという訳です。
その要因のひとつは、民主党内部での路線に対する不協和音です。この時限爆弾的な論議が活発になると、解散総選挙に今度は、民主党が自民党に追い込まれる可能性があるというものです。これに関して、ワシントンのアナリストの一部では、すでにそう読んでいる人もいるようですよ。

ただ言える事は、民主党には、希望と理想に燃えた若くてエネルギッシュな政治家が何人もいます。もちろん、自民党にもいるでしょう。私の知人もその一人です。彼は、若くてとても優秀で、粘り強く政策を精力的こなしている人物ですが、高齢の先生達がとても多く、やり難そうでした。それに比べ、民主党はフットワークも軽く、期待値がワシントンでなくても高いと思われます。票が飛躍的に伸びたのも、国民ひとりひとりが、機敏にそのことを感じたのではないでしょうか?

党首の鳩山由紀雄さんは、最近会いませんが以前はバーでよく同席しました。簡単な挨拶と会釈をするとても気さくなジェントルマンです。もちろん、民主党が政権を取った場合は、彼が総理になるべきだと思います。少なくとも理想と現実をしっかりと見定めて、現実路線を取るであろうと想像します。
ただ少し気になることも。それは、政権樹立後、党の主要メンバーは大臣や閣僚に選出されますが、ただ一人大物政治家が閣僚入りしない可能性があります。それは小沢さんです。彼は自ら閣僚入りを拒むのではとも、言われています。とした場合、水面下での彼の活動と公式な鳩山さんの間に大きく乖離があった場合は、別な力学が生まれそうな気がします。

ハドソン研究所主席研究員の日高義樹氏は「オバマ外交で沈没する日本」という著書の中で、こう言っています。
オバマには世界戦略がない」と。それは米国議会は「バイ・アメリカン」という極めて保護貿易の強い法案を成立させたことがキーワードとなっています。この根底には、彼が大統領選挙の際に、外国との貿易が米国人の職を奪っているという労働組合の大きな支援を受けことに端を発し、その意向に則った先の法案等の活動により、自由貿易に消極的になっているらしいとの見方です。オバマさんの日本に対するメッセージ等ではそんなことは感じられませんが、水面下では自国の労働組合保護の観点から、今後は徐々に自由貿易を締め付けるかもしれません。
日高さんは、相当峻烈にオバマ政権をこき下ろしていますが、やはり彼の言うように、いくつか気になる項目もあります。例えば、北朝鮮との国交樹立の可能性です。日本に批判的で、歴史的に虐げられてきた北朝鮮に好意的というリベラルな発想です。また、中国戦略も失敗するだろとする憶測です。この先中国は、消費大国に成長しますが、景気が回復した場合の石油の高騰や水不足、食糧不足等が経済を直撃するだろうと見ています。それに加えて高齢化です。日本も高齢社会ですが、その絶対数が中国とでは飛躍的に違います。これも深刻です。米国経済と世界経済を大きくしようとする場合、必ず拡大することを前提とした中国経済の牽引力を期待することに危うさを指摘しています。いずれにしても米国ハントらしく、エキサイティング力作です。

私は、政治力学は常識外にあると思います。なので、実際には新聞、雑誌、TV情報にて得られる表面的な行動よりも実際には別な力学によってなりたいっていると感じます。その意味では不得意な分野といえます。しかし、この未曾有な経済危機の中、政権の交代という特殊事情が、経営者の一人として部会者ではいられなくさせるようです。
海の向こうのオバマさんのスタッフが、次から次へ沸き起こる自国の再成長への諸問題への危惧と、重要なこのタイミングの極東日本の政権交代による大きな政策変更について、ちょっと読めない情勢だというのも頷けませんか?

参考
・「オバマ外交で沈没する日本」日高義樹著
・"「民主党政権」にアメリカが抱く「三つの疑問」" Michael Green 米戦略国際問題研究所日本部長 

 

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