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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

熱帯魚と地球環境

2006.01.08

熱帯魚を家の中で飼育してみたい。
海鮮レストランでは泳いでいるあの魚を食べたい。

子供の頃田舎の海は綺麗で神秘的でした。水中メガネと足ヒレと手製のモリで泳いでいる「魚」や「伊勢海老」や「ワタリガニ」を捕ったものです。その日初めて海の中にもぐると体力と肺は最大限に発揮できるので2分程度水中で活動できます。そして、二回目、三回目と回数を追う毎に潜水時間は短くなります。
そして、捕まえた海老やカニはその場で焼いて食べてしまうほど野性的(野蛮的!?)でした。でも子供ながら危険を予知するのでしょうか、10回程度水中に潜ると負担が大きく本能的に岸に引き返したものでした。
僕の知人に水族館や熱帯魚店は苦手という人がいます。いずれもガラスを通して巨大な水に囲まれている事が恐怖になり、その後きまって気分が悪くなるそうです。分かるような分からないような。

僕の週末の散歩の途中にいわゆる「熱帯魚店」があります。
色とりどりの熱帯魚は見ていて飽きもせず、お店に立ち寄ると20-30分はすぐに過ごしてしまいます。時折、指差しながら熱帯魚を店員に言いつけてタマで掬ってもらい、ビニール袋に入れて持ち帰るお客に出くわします。あんなに買っても十分に入る水槽がなるんだなぁとちょぴり羨ましくもあります。そういえば以前弊社のメンバーに自分の机の上に熱帯魚を飼っていた人もいました。よく面倒を見ていましたが1-2ヶ月で死んで、また新しい魚を買ってきているようでした。
一つのお店で泳いでいる「熱帯魚」は相当な数で、それが日本全国、世界規模と考えるとトテツモナイその数に「震え」がきそうです。
一体どこから「熱帯魚」はやってくるのか?

熱帯魚は日本の近海では限定された魚以外は生息しません。殆どが南海の海に生息しています。
熱帯魚は巨大ビジネスでもあり、この人間の嗜好による「観賞魚の捕獲は地球環境破壊」を前提としています。

誰でもが「熱帯魚を飼いたい」というニーズからビジネスが派生し、しかしこの人間の嗜好による観賞魚の捕獲は実は地球環境破壊を前提としている事に殆どの人は知らないでしょうし、意識していません。
また、鮮魚専門レストラン店での「泳ぎ回るお魚」もサンゴ礁の破壊という犠牲の上に捕獲されています。

「熱帯魚」や「活魚」としてレストランで食べる魚は殆どが野生魚です。なのでカブトムシやクワガタのような昆虫独特の養殖ではありません。この地球環境の破壊を前提とした魚の捕獲は「南東アジア」で年々拡大していると言われています。
その捕獲の方法に問題があるのです。
日本での「活魚」は養殖や網による捕獲がコスト的にも技術的にも一般的なのでここで言う環境破壊はありません。
南東アジアの漁民は「毒物と爆薬」を使うそうです。漁師はまず素潜りでその海域に目的の魚がいることを確かめると、プラスチック容器に青酸化合物を入れて沈め麻痺状態で海面に浮いたきた魚を掬うそうです。生け簀に数時間置くと青酸化合物が完全に抜けるので、その後仲買人に引き渡すという事を繰り返しているそうです。
または、自家製のビール瓶爆薬で衝撃による魚の捕獲です。いずれも目的は同じです。
この行為は違法ですが漁業資源の枯渇から東南アジアで急速に始まり各地に広まったという事です。活魚として食用の魚の行き先は香港上海バンクコだそうです。そういえば鮮魚レストランは上海に数多くありました。各国の海鮮料理店の需要によりこの悪行が広がったという事になります。
活魚ブームは拡大する一方ですから当然昔ながらの「一本釣り」でその需要に応える事が出来ないのは明白です。

この違法行為による被害は「サンゴ礁の死滅」という途方も無い悪循環を促進する結果になるため政府としても阻止するための組織を「南太平洋諸国会議」で決議したそうです。
この漁法は「東はインド洋のモルジブから西は南太平洋のソロモン諸島」までアジア・太平洋地域に広がっているという事です。また、最近では東アフリカのタンザニアでも始まったという報告があるそうです。
司法制度と漁業組合というユニオン・シップによる相互監視制度が整備されている日本では想像も出来ませんが、多くの島と広大な海に囲まれている東南アジアでの取締りにはやはり物理的に限界を感じます。

先の「観賞用熱帯魚」は近年の世界的な水族館ブームや自宅水槽で飼う鑑賞魚の需要急増により東南アジアだけで年間二億ドルもビジネスをしているそうです。輸出先は米国もありますが、最大は日本です。僕の散歩途中の「熱帯魚店」という訳です。お得意先の日本には年平均で「70トン」の熱帯魚が東南アジアから送られてきます。
その大部分が例の「青酸化合物」漁法です。70トンですよ。途方も無い「数の魚」ということですね。
この青酸化合物で死滅したサンゴ礁はもう元に戻る事は無いそうです。
サンゴが死ぬとサンゴ礁が死滅し、そこに生息している約4000種の生物が死に生態系バランスが当然の如く崩れる事になります。

もう、熱帯魚を飼いたいと思いません。

■参考・引用 地球環境報告Ⅱ・石弘之著

 

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