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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

エルサレム

2005.09.17

パレスチナ人はこう呼ばれています。
『パレスチナ人は国を持たず。
アラブ世界でも常に差別されてきた。また、国により保護を得られないために個人の努力、それとパレスチナ人同士の団結により人生を切り開いてきた。また、命ある限り決して奪われる事がない「教育」のみに投資をし続けた。故にパレスチナ人の勤勉さはアラブ社会では際立っており、ある人は医者であり、作家であり、画家であり、弁護士であり、大学教員であり、ジャーナリストであり、研究者でもある。』
なんと切ない表現の仕方です。国もあり、住むべき土地もあり、保護もあり、仕事もあり、また、人として迫害を受けた事のない我々にはとても想像でない世界です。

つい先日「キングダム・オブ・ヘブン」という長編の映画を見ました。
12世紀の十字軍と聖地エルサレムの話しです。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』のオーランド・ブルーム。ハリウッドの若手でご存知ごとく美形です。名門ギルドホール音楽演劇学校で3年間学び演技の基礎を身につけたとか。また、以前撮影中に3階のテラスから転落して大ケガを負うが一年後にみごとに復帰を果すという厳しい経験もしているそうです。そして「ロード・オブ・ザ・リング」三部作ではエルフ族の美しき弓の名手レゴラス役に大抜擢され、一躍人気スターの仲間入りをしました。他にはジョニー・デップ主役の「パイレーツ・オブ・カリビアン」でも光を放っていましたね。また、ブラッド・ピットと共演の「トロイ」ではいまいちの役柄でしたが、今回のキングダム・オブ・ヘブンではその力量が十分に演技力として発揮され、145分の大作はアッという間でした。オーランド・ブルームは一度に子供と妻を亡くした鍛冶屋の「バリアン」役ですが、実は著名な騎士(リーアム・ニーソン/勇敢な騎士ゴッドフリー役)の一人息子だったのです。父から託された〔4つの誓い〕を胸に、十字軍の騎士としてエルサレムへ戦いの旅に出るというものです。

もともと、十字軍の遠征(1095年)はトルコ人のイスラム王朝であるセルジューク朝にアナトリア半島を占領された東ローマ帝国の皇帝「アレクシオス1世コムネノス(在位1081年-1118年)」が、ローマ教皇「ウルバヌス2世」に救援を依頼したことが発端と言われています。このとき、大義名分として異教徒イスラム教国からの「聖地エルサレム」の奪還を訴えるのです。皇帝アレクシオスが要請したのは東ローマ帝国への傭兵の提供です。当時傭兵の組閣はそんなに難しいものでなく、戦費さえあれば比較的容易に軍隊を生成できたようです。ですから、最初は今回の映画のような正規軍としての「十字軍」ではありませんでした。この映画の時期はその後の十字軍遠征の物語です。ウルバヌス2世は集まったフランスの騎士たちに向かってエルサレム奪回活動に参加するよう呼びかけます。彼がフランス人に、神のために武器をとるようにと呼びかけると人々は"Dieu le veult!"(神の御心のままに!)と答えたといいます。映画の中で幾度となく唱えられたセリフですね。
この時「イスラムの英雄」サラディンにより、およそ90年ぶりにイスラム側に占領されるところで物語は終わりに近づきます。映画では「バリアン」と「サラディン」の巨頭会談でエルサレムの明け渡しとエルサレム軍の命を交換すると言う「離れ業」で決着しましたが、実際にはエルサレム軍捕虜を、身代金を支払うことで命を助けるという寛大な処置を「サラディン」が行ったので歴史に輝きを持たせたと言われています。
その後、教皇グレゴリウス8世は聖地奪還のための十字軍を呼びかけ、イングランドの獅子心王「リチャード1世」、フランス王「フィリップ2世」、神聖ローマ帝国皇帝「フリードリヒ1世」が参加した連合軍を組閣しますが、結局苦戦を重ね、サラディンと休戦協定を結んだことで聖地エルサレムの奪還は失敗に終わることになります。映画では鍛冶屋に戻った「バリアン」に「リチャード1世」が合いにくるシーンがありますが、その辺を意識した演出なのではと思ってます。

リーアム・ニーソンが父として息子のオーランド・ブルームへ「騎士の座」を受け継ぐときに示した四つの言葉が今も耳の中にエコーの様に気持ちよく響きます。

「戦うことを恐れるな。」「勇気を示せ!」「死を恐れず、真実を語れ。」「弱者を守り、悪しきを行うな!」

 

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