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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

時差とブログ

2005.08.23

グローバリズム「平らから丸いへ」の続き

フェルディナンド・マゼラン1519年9月20日5隻の船団と237人の乗組員を率いてスペインのサンルカル・デ・バラメダ港を出帆しました。そして、三年後の1522年9月6日に「マゼランの地球一周」という偉業を成し遂げる形で帰国しました。マゼラン本人はその前年に不慮の事故で41歳で亡くなっています。前回もブログでその辺の話をしました。このプロジェクトの最大の目的てある「地球は平らから丸い」というグローバリズムを実証した事で十分に達成しました。が、その延長線上で新しい航路を開発し「地球は丸い」から「すこし小さく」なった事も証明しました訳です。もちろん、香料諸島から物理的に高価な香料を満載してた訳ですので、領土権や交易権という副産物もありました。(本当は主目的)しかし、その多くの犠牲もありました。出港時のクルーは237名で帰港時のクルーはわずか18名と言われています。生存率7.6%です。この脅威的な数字は恐怖さえあります。この犠牲はとても大きな課題ですが、実はこのプロジェクトの隠れたもう一つの大きなグローバリズムがありました。それは「時差」です。

マゼラン隊の航海日誌の日付と帰国したスペインの日付が一日ずれていた。この矛盾が「時差」であることは現代の我々はごく自然に認識できます。しかし、当時は大変でした。三年間の航海日誌をひくっり返し、記入ミスが無いか調べられました。勿論毎日1ページずつ書き込む航海日誌に間違いはありませんでした。当時この問題はローマ教皇を巻き込んだ大論争となりました。当時の人々が「時差」の概念を認識するのは難しかったことでしょう。さて、スペインとマゼラン隊の時差を証明したのが航海日誌ですが、船の中では「ログ・ブック(Logbook)」と呼ばれています。この日誌は現代では航海士が記入するものと機関士が記入するものとに分割されて一隻に二冊のログ・ブックが存在します。そして、その日誌を公式なもにする為に、航海士が書き込む日誌には「船長」が、機関士が書き込む日誌には「機関長」が日々サインをします。マゼランの時代にはマゼラン自身がサインをする日誌のみでしたが、この行為は帆船の発達に応じて整備され、その後万国公法へと発展します。そして、日本で公式にこのロク゛・ブックを活用したのは坂本竜馬の「海援隊」が運行した「いろは丸」でした。このログ(log)ですが、丸太を海に流して船のスピードを測る道具からきているようで、その他に履歴、情報を取るという広い意味もあります。そして、現代ではウエブの日誌、日記、履歴という行動から「ウェブ・ログ」(短縮してブログ)と名づけられたと思われます。

では、現代の船舶のログ・ブックはと言うと、やはりハイテクなんです。航海データ記録装置と呼ばれています。(Voyage Data Recorder/VDR)。航空機のフライトレコーダー、ボイスレコーダーに相当するものです。海難事故が年々多く発生しているところから開発・整備が進んでいます。特に海難事故が発生した場合、VDRを回収し、データを解析することにより事故の真実と原因を知り、防止に役立てることを目的としています。法律については2000年12月、IMO(国際海事機関)において、国際航海に従事する旅客船全て、総トン数3000トン以上の新造貨物船への搭載を強制化するためのSOLAS条約改正が採択され、2002年7月1日に発効しています。

 

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