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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

イサム・ノグチと遊び

2006.05.21

子供達と遊び道具

今の子供達と自分が子供だった頃の違いを思い起こすと、その多くが「兄や弟」の事であったり、「近所の沢山の遊び仲間」であったりします。
そしてそこには必ず存在する延々と受け継がれた「遊びの方法と遊び道具」がありました。
子供時代は「海」も「川」も「山」も、その範囲にありました。

子供と子供の遊び道具は「生まれた風土より培われた一つの文化である」と言った人がいます。まさにそう感じています。子供たちの中で自然を利用した遊びは次から次へと伝承されて来ました。
多分、子供はその「直感によって道具の本質と機能」を取捨選択してきたのだろうと思います。
勿論現代に生きてる都会の子供達にも自然を求める本能はあると思いますが、昨今の密室化された人工的環境の中にあっての「自然」は中々手に取ることが出来ないのが実態です。時たまサラリーマンが都会から回帰現象のように田舎に暮らすと言い出す人がいます。そのサラリーマンにお子さんがいれば、その子達こそ「幸運な自然児」になれる可能性が無い訳ではありません。
しかし、殆どの都会の子供達は「カブトムシ」や「クワガタ」はデパートやお祭りの屋台の駕籠の中にいる「虫」で「お金」と引き換えに手に入れるものと半ば諦めています。虫が自然に生息している事はある程度理解しても「実態」が無く、「その自然環境」に入り込む事は殆どの子供達からは遠く離れすぎています。動く本物の「」は、本物と意識はあってもお金で買ったものであくまで「標本」に近いものです。虫が生息する自然環境やその生態を全く知らないのですから。
特に昨今では「虫」をビジネスの一つの商材にしています。

イサム・ノグチ1933年ニューヨークが主催したコンペに参加しまた。
その模型の名前が有名な「遊び山」〔 ブロンズ模型〕ですが、現在「横浜美術館」で『イサム・ノグチ 世界とつながる彫刻展』〔2006年4月15日(土曜)~6月25日(日曜)〕の展示物のリストに載っています。

このニューヨークのコンペに参加したイサムは市のワンブロックを全て取り壊し起伏に富んだ人工的な「遊び山」を作ろうと考えていた様です。この構想が実現すれば前代未聞の壮大な彫刻となるはずでしたが、ニューヨークはこの提案を拒否します。と言うよりははっきりとした「嘲笑」でした。その後もハワイ・アラモアナの遊園地やニューヨークの国連本部の遊び場などの模型を作り、働きかけますが、それらも含めて全て却下されました。


〔イサム・ノグチのつくばい〕
知人から送られたイムサ美術館に展示されている「つくばい」


〔ドウス晶代さんも訪れたイサム作品・NYより〕

ドウス昌代著「イサム・ノグチ」を読むと「プレイ・マウンテン」(遊び山)がイムサの原点であることが理解できます。彼は滑り台も作りました。ですから「プレイ・マウンテン」(遊び山)を凝縮するとそれは『滑り台』〔スライド・マントラ〕になるし、最大限に拡張すれば札幌の「モエレ沼公園」になります。
ドウス晶代さんが何度も言っていますが、「遊びこそはイサム・ノグチの世界観の源泉がある」と。
イサムの不幸な生い立ちや青年時代、米国や日本のいずれの国にも表面的には別にしても「核心部」に入り込めない「宿命の越境者」は「遊び」をどの様に捕らえたのでしょうか。
生い立ちと絡めるとその孤独さに何人も侵食できない「精神」の持ち主であるような気がします。

自分が子供の頃を振り返ってみれば、
子供達の遊びは自ら作り出すことにその本質があり、遊び道具はそれを補い、さらに遊びの想像力を掻きたてる」ものという補助的で複合的な要素があるように思えます。

今、ひしひしと「ふるさとを持つ」有り難さを感じでいます。
イサムが晩年「これはぼくの仕事です」と、積極的にこの仕事を引き受けた最期の作品である「モエレ沼公園」へ行って見たいと思います。


□参考 モエレ沼公園
地球に刻む、風景・夢・記憶 環状グリーンベルトの拠点公園として モエレ沼公園は、札幌の市街地を公園や緑地の帯で包み込もうという、「環状グリーンベルト構想」における北部平地系緑地の拠点公園として計画されました。 内陸部分約100haの周りを取り囲むモエレ沼の水面を合わせた189haを公園区域としており、平成17年(2005年) 夏に全面完成いたしました。 札幌市の公園の中では数少ない水の要素を持つ公園であり、広大な面積を有するスケール感からいっても、札幌を代表する公園のひとつです。 そしてまた、彫刻家イサム・ノグチのマスタープランに基づき、「全体をひとつの彫刻」とみなした公園づくりを行なっており、世界的な注目を集めています。

 

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