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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

野菜とかっけの続き

2005.11.20

以前「キャベツと肺がん」というテーマで「野菜の効能を知らなかった中世の船乗りたち」のことをブログしましたが、その後続きを思い出しので書き加えることにしました。

キャプテン・クックが1768年にエンディヴァー号で彼としてははじめての公式な探検に出かけた事になりますが、ここで最新の医学的な学説の実証や実験的な技術の実証を試みています。それは長い間海軍が悩み続けた「かっけと懐血病」です。人間の身体がビタミンCを蓄えられる期間は六週間だそうです。その供給が切れると「懐血病」の症状が現れます。激しい倦怠感。歯が抜け、歯肉が腐る。関節が痛み、皮膚に腫瘍ができ、口や鼻や肺から出血し、最終的には死にいたる。というのが18世紀のこの時代の避けられない壁でした。その病気は周期的に発生しますので、一度に大量にクルーが発病し、船内が病人だらけになります。なので、この時代では「地図がない」と同じくらいに重大な問題でした。
彼はこの「かっけと懐血病」対策をやったのです。当時の海運省の「傷病委員会」がまとめた対策案と彼自身が必要と思われた方法の折衷案がどうやら功を奏したらしいです。彼がやった方法の一つが乗組員の「清潔さ」を保つ事です。体の洗浄と洗濯と船内の掃除です。1796年まで海軍の支給品に「石鹸」はありませんでしたので、多分この時は海水で水洗いした後、溜めた雨水で濯ぎをやったのでしょう。体も服も。
しかし、海軍が実験用に持ち込んだ「抗懐血病食品」は全く効果なかったようです。そして、クックが独自の判断で寄港地毎に必ず買い付けた「新鮮な野菜と果物」をクルーに食べさせる事を根気よく習慣付けましたが、皮肉にもこれがクルーの命を守りました。一日10㍉㌘のビタミンCを摂取すれば何万もの船乗りを救う事が出来ました。科学的にそのことを実証できたのは20世紀に入ってからです。

最近、飽食の時代においても「かっけ」が発生していますが、それはどうも食生活の偏頗によるものと云われています。特にインスタント食品に偏りがちな学生に、かっけの症状が表れるているそうです。ビタミンB1を摂取すると、その食べ物が消化され時「糖質代謝」が行われますが、その時に必要となる栄養素となっています。「ビタミンB1は、血液中の糖の消費に必要な補酵素です。インスタント食品やスナック菓子には脂質とともに糖質も多く含まれているのですが、この糖質の消費に必要なビタミンB1の摂取が足りていないのです。ビタミンB1の需要が多いのに供給が少ないために、かっけが起こります」と云う事だそうです。初期症状は、疲れやすい、体が重い、むくみがある、どうきや息切れがする、朝起きるのがつらい、食欲がない-など、いわゆる不定愁訴や心身症の症状が出るそうです。「心不全を起こす」危険性もあるらしい。
かっけは過去の病気ではなく、現代の食生活に隠された落とし穴です」という怖い話です。

壊血病の治療法を発見したのは「ジェームズ・リンド」です。1756年から1763年の間に「7年戦争」(イギリスの財政援助を受けたプロイセンと、オーストリア・ロシア・フランス・スウェーデン・スペインに加えドイツ諸侯との間にヨーロッパで行われた戦争です)がありましたが、この戦争について彼が興味深い事を云っています。
その内容は、「戦時中、難破、拿捕、飢え、火災あるいは刀剣で死んだ船員の数は、船員固有の病気や不摂生な風潮による普通の病気にくらべれば、ほんのわずかであった」と。
この戦争で13万3780人が病気または脱走で失ったが、それに比較して戦闘で殺されたのは1,512人であったそうな。この比率は脱走で失う比率はあったとしても当時いかに「懐血病やかっけ」が大きな問題であったかという事を窺い知るデータと言えます。でも、18世紀末にかけて海軍における衛生状態がそれなりに改善されて行くと、それに並行して、脱走が大きな問題となった様です。いつの時代も常に新たな問題が発生するものです。

ところで、
過度なダイエットや欠食や外食によって、特に「女子大学生の血中総ビタミンB1」の値が非常に低いことも報告されている様です。「食生活に偏りがあり、疲労感やけん怠感が続いている場合は、潜在的ビタミンB1欠乏症と考えて、食生活を改善する必要がある」そうですよ。ダイエットしたい「あなた」。よく考えてからはじめましょう。まぁ、期待はしていませんが。
ビタミンB1は特に「玄米」に多く含まれているそうです。赤坂うまや〔驛〕」のランチは「白米か玄米」いずれかを選べます。大変うれしいです。丸山さん是非今後も続けてください。世のダイエット推進者の為にも。

 

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