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Cutty Sark

Cutty Sarkは常に夢を追い続ける希望の帆船です。I still have a dreamのこころざしを持って海図にない航路を切り開きます。

貴婦人

2005.10.16

貴婦人が優雅に現場復帰!

18世紀後半まで国内の大森林から無尽蔵に針葉樹を供給できた米国は帆船の大型化拍車が掛かりました。しかしその針葉樹という材料の性質と造船技術等の不整備で小さくとも堅牢な英国帆船に比べると漏水が多いとされていました。一方英国は徐々に樫材の不足が国家レベルの造船業への供給寡少が深刻になっていきます。英国は樫材の不足をチーク材で補っていましたが、当然ながら費用が嵩むという問題に直面していました。しかしチーク材は樫材よりもさらに耐久性に富むという利点もありましたので、木鉄交造船という新たな造船技法により徐々に改善しました。木鉄交造船は同じ大きさの帆船ならばオール木造船に比べて木鉄交造船方式の帆船を作る方が重量を三割程度軽減できたのです。鋼船の帆船が積極的に作られるようになったのは19世紀半ばを過ぎてからの事になります。

さて、
全て鋼板で出来ている「海の貴婦人」である「海王丸」ですが、皆さんも記憶にある様に去年10月の台風で大きなダメージを受けました。当時富山港沖に停泊していましたが台風の直撃を受けて仕舞いました。TVでその模様を見ていましたが岸壁に並んだテトラポットに何度も何度も波浪によって押し付けられていました。見ていて「とても気の毒な」でした。その後座礁したのです。
この事故は当然ながら「海難審判」扱いとなります。船長及び当直航海士の前後の操船に関する行動が審判の対象となる事でしょう。救いは乗組員と練習生167名全員無事の救助と沈没を免れた事でしょう。不幸中の幸いでした。

航海訓練所の練習帆船・海王丸は今年4月から、横浜港の造船所で本格的な修繕工事を受けていましたが、事故から1年近く経ってようやく外装工事が完了しました。富山市内の修繕ドックに入り曳航に耐える為の仮修理を行い、横浜へ本格的な修繕を行うためにホームドックのIHI横浜のドライ・ドックに移動しました。本格的な修繕により座礁した船底、テトラポットと接触した舷側等全て切り取り、船体鋼材の約25%にあたる約400トンも新しい鋼板と取り替えたそうです。修復費は数十億円になるそうですが、船舶保険で全額補填との事です。

貴婦人の復帰予定は来年の1月の定期練習航海に組み入れられるそうです。復帰前に一度貴婦人に会いに行きたいと思います。

■独立行政法人 航海訓練所所属「海王丸」主要仕様
船型 4檣バーク型帆船
総トン数 2556トン
全長 110.09m
全幅 13.8m
総帆数 36枚
帆の総面積 2760m2
メインマスト高 43.5m(船楼甲板からの高さ)
最大搭載人員 199名
他 ディーゼル機関(2基)による機走可能


今回の海難事故にあったのは海王丸二世です。海王丸一世は当時「文部省航海練習船」として1930年(昭和5年)に進水し、1984年(昭和59年)に引退するまで、戦前、戦中、戦後と、夫々の状況に応じて活躍しました。そして、1989年(平成元年)に海王丸II世に引き継ました。引退後は富山新港(伏木富山港)の海王丸パークにて展示公開されています。姉妹船として日本丸があります。日本丸一世は横浜MM21のドック・ヤードに設置されています。

 

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