豆腐と旬のもの
2006.07.09
昨夜京都から帰宅しました。
京都では「豆腐」を堪能しました。
豆腐はその昔「漢の淮南王劉安」が造ったといわれています。劉安はかの高祖・劉邦の孫にあたるので年代は紀元前二世紀ごろになります。とっても古い食材という訳です。
日本で豆腐が文献に現れるのは「平安末期」だそうです。平安といえば勿論場所は「奈良」という事になりますね。
奈良はこの豆腐のほかに「茶の湯の開祖」が村田珠光が生まれたり、「饅頭」も奈良がら全国伝わったといわれています。奈良は平安遷都以後文化の主流から外れているにも関わらず意外と不思議な「古都」の輝きを放つ文化圏といえますね。
それはきっと泉州堺という文化を受けやすい港に近かったせいでしょうか?
豆腐の造りかたは原始から現代まで基本的には変わっていないそうです。既に日本人の食卓に一般的になってしまった「絹漉し」は近年ものです。
豆腐の造り方は「時代がさかのぼる」ほど、
都市から「遠ざかる」ほど、
「硬く引き締まった豆腐」になるそうです。
そういえば子供の頃田舎で食べた「綿漉し豆腐」は本当に硬く引き締まってました。
「柔らかい」絹漉しを初めて食べたときその食感に驚いたものです。
そういえば中国でもよく豆腐を頂きますが、
少し感覚が違う事に気づきます。
私たちは豆腐を食べるとき「冷奴」や「湯豆腐」を好んで頂きます。このシンプルな豆腐の食材を十分に味わえる食べ方を日本人は好んでいます。
が、中国ではそのまま使われずに加工する事が多かった事を思い出しました。
「醤豆腐」とか「臭豆腐」などの加工豆腐が一般的と聞いたことがあります。
日本で豆腐の加工は「乾豆腐」くらいです。
奈良も京都も大陸にかなり気候が似ていますが、より湿度の多い土地柄で加工豆腐が少ないのは生物が好きな国民性でしょうか?
最近はバイオ技術にる栽培や高度な貯蔵技術によって多くのものが年がら年中出回るので食物の季節感が少しずつ失われています。
しかし昔は「旬」のものを食べるのはあたりまえのことだったでしょう。
普段僕らが口にしている食品の質は、生物の自然な営みの形からはずれ、季節とは関係なしに大量生産され、人工的で不自然な促成飼育などにより、大きく変化しているといえます。
しかし、
反面、「自然のも」のが出回ることの多い旬の素材は、おいしくて栄養価も高いといえます。
今が「旬」の代表的な食材は、
「アジ」「キス」「イカ」「ウニ」「カボチャ」「ナス」「トマト」「キュウリ」「枝豆」「ピーマン」「スイカ」などです。
どれも自然の旬の食べ物は美味しい。
今回の京都では豆腐の他に冷たくした「京山科なす」や「賀茂なす」を頂きました。
特に「賀茂なす」は「万久満」でも時折タイミングが合えば店主の戸田さんがほんの少し確保してくれます。
その「賀茂なす」の美味しい事。きっと直接京都から仕入れているのでしょう。
達人の店は仕入れルートもやはり人任せにせず、しっかりと自分で確保するのでしょう。
現代では、
より体にいいものを食べるために、折々の季節にあった、「よい食べ物を選ぶ」ことが必要になって来たようです。
豆腐と旬のもの