インフラ道(障害対応編・その1)

インフラの業務に携わっていて避けて通れない道に「障害対応」があります。

昨年、社内システムの大部分をホスティングサービスや、
仮想化の環境に移行して以来、かなり安定して来たとは言え、
年に数回は予想していなかったトラブルに見舞われたりします。

 特定のサーバーだけならばともかく、全社的に影響する
ネットワークのトラブルが発生した場合は、自分の通常の業務
を差し置いてでも対応せざるを得ません。

 ※※※筆者が初めてこの業界に足を踏み入れたきっかけも
今から15年程前、社内LANのネットワーク管理の業務を通じてでした。

 部門サーバー7台、クライアント台数800台、という環境に、
わずか2名で送り込まれたLAN環境。。
 しかもそれまで、右も左も分からず(この場合はMS-DOSもUNIXも
分からず・・等の表現がふさわしい気もしますが)
ネットワークどころか、PCそのものに関しても初心者同然のような
筆者を、管理者として採用する事さえ無謀だったのではないかと
思われます。今の時代だったら考えられません。

 しかし、当時はまだネットワーク黎明期で、その職場ではまだ
与えられたPCをワープロ代わりに使用しているユーザーが多く、
通常の業務連絡に使用するツールはメールよりもFAXが主体でした。

 ネットワーク自体外部には繋がらなかったので所謂イントラネット
ではなく、完全なローカル・エリア・ネットワークでした。
外部とのe-mailでのやりとりというのもこの頃のその職場では存在して
いなかったのです。

 社内メールのルーターが障害を起こして停止してしまっていても、
使っている人がほとんどいないため苦情の電話1本かかって来ず、その間に
こちらはサーバールーム内に置かれたドキュメント類を引っ張り出したり、
システムの開発者と連絡を取ったりしてイソイソと対応していました。

思い返してみれば随分と呑気な時代だったと思います。
大半の人達がネットワークに関して初心者だったおかげで、自分の拙い
スキルでも、何とか賄えたわけです。

 その職場でたった一人の上司兼同僚だったAさんは、当時で60代半ばと、
かなり年配の方でした。
某大手通信会社のOBで、引退後にまるで趣味で仕事をしているかのような
趣があり、まさに悠々自適。
 自家用のクルーザーを所持して休日は船で海に繰り出す等、若い自分よりも
よっぽどアウト・ドアな生活を送っている快活な方でした。

 Aさんは大昔の汎用機の時代からずっと情報システムの仕事に関わって来ただけ
あって、技術的な情報量は非常に豊富で、PCやネットワークの事を何も理解して
いない、と言っても良いような当時の自分に、様々な事を教えてくれました。

 極々基本的な事すら分からず、ユーザーからの質問の受け答えに詰まり、
自信を無くして落ち込んでいる時でも

「ワッハハハハ!Sidさん、まだまだ修行が足りませんな~」
と、豪快に笑い飛ばしてくれるAさんの下で、何だかまるで映画「ベスト・キッド」で
老師に教えを請う弟子のような気分になったりしました。

 そんな職場で3年ほど過ごしたのですが、その間にネットワークが外部に繋がり、
イントラネットとして機能するようになると、社内のPCの使用率が爆発的に高まり、
それに連れて問い合わせや苦情も日に日に増えて行くようになりました。

 少々大袈裟な表現かもしれませんが、世の中の情報伝達手段が大きく様変わり
しようとしている現場にリアルタイムで居合わせる事が出来たような面白みを感
じていました。

・・等とそんな風に悠長かつ懐古的に振り返れるようになったのはここ数年の事
です。当時は、とにかくバタバタと試行錯誤しまくり、何度「こんな仕事、もう
やってられん!」と思ったか知れません。

 不思議なもので何年か経つと、そういう大変な思いをした事ほど面白く、懐かしく
思い出されて来たりします。

 その頃と比べれば少しは自分のスキルも上がったか?とは思うのですが、
それよりも技術的な進歩や変化のスピードの方が著しい気がします。

 現在の社内システムも極たまに癇癪を起こす事があり、そんな時は相も変わらず
アタフタと対応に追われ、とても感慨にふけっている余裕などないのですが、
サーバー・ルームに篭ってあれこれ作業をしながら何とか状況が落ち着いたりするとふと、
Aさんの笑い声を思い出したりします。

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