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ブラッド・ピット演じる「女神の息子」と呼ばれる無敵の戦士アキレスは「しなやか・強靭・華麗・冷酷」でかっこよかった。またオーランド・ブルームはロード・オブ・ザ・リングで闇の森のエルフ王国の王子レゴラスの優雅で控えめで美しさで他を圧倒していたが、ここでは絶世（?）の美男子トロイの王子パリスを演じる。ブラピは大スターだが、オーランド・ブルームはこれから大きなチャンスがたくさんありそう。

叙事詩「トロイのヘレン」と「トロイ」は同じ素材（原作：ホメロス）を使った映画ですが、制作時期にざっくり50年の距離がある。叙事詩「トロイのヘレン」は1955年の制作で、勿論リアルタイムには見ていないし、VHSにもなっていないが、昨年たった一度だけ、NHK衛星放送で放映している。大スター、ブリジッド・バルドーが無名だった２０歳に端役で出ている。勿論この「ヘレン」は物語の問題のスパルタ王妃の名前です。

ブラピの戦士アキレスの逞しく優雅に舞を舞うように人を倒すシーンやエリック・バナ演じる兄王子ヘクトルの勇姿がとても印象的でした。そこで思い出すがやはり「トロイア戦争の伝説」です。僕はローマ帝国が排出した英雄たちをとても好んでいるが、彼のらさらに・さらに・前の時代で物語である。オーランド・ブルーム扮する王子パリスが城内の人々を導き、城の奥の地下道から逃げるシーンがあるが、あの落ち武者たち（数百人）が新天地ローマまで流れそこで建国したのがローマと言う事になっている。

「トロイア戦争の伝説」の「トロイア」はイリオス（イーリオス）、トロイ、トロヤ、イリオンなどと呼ばれる、ギリシア神話に登場する都市の名前です。現在のトルコにあたる場所。「トロイ」を見たという若者が、場所も年代も解らず、ただブラピがかっこよかったとランチの時に語っていました。映画という娯楽はそれでいいのでしょう。そのトロイアですが、長い間伝承の世界だけの都市で、実在しないとされていました。その物語を聞いた少年は長く自身の心に育み真実と確信し、やがて歴史的な大発見の幕開けとなる。その少年の名前は「ハインリッヒ・シュリーマン」である。彼は父親からトロイア戦争の伝説を何度も聞かされ、真実として心にと留め置いた。彼はドイツの片田舎に生まれ、とても貧しい家庭だったらしい。父親はこの町で牧師をしていた。彼は青年になると商売を始め、非常な苦労の末、自身の商才と幸運に恵まれ相当な資産を成した。そして、41歳の時に商売から完全に身を引き念願のトロイアの発掘に専念する。かれはそれまでは非常に金銭に執着が著しかったが、目的はトロイアだった。それも40歳と決めていた節がある。彼はホメロスの物語を丸暗記していた。そして、その物語通りに発掘作業を行う。それでも丸三年かかってやっと遺跡らしき発掘物に出会うことになる。この発見は序の口で、第一市から第七市まである多層の遺跡を発見することになる。そしてトロイアは第六市と後々判明。この数年間に渡る発掘によりホメロスの物語が決して架空な物で無かった事がトロイアの発見で証明された事になった。一人の少年の夢が消え去った世界を再現する契機になる。この「決して諦めることの無い強い意志」と「少年期から思い続けたロマン」によって達成されるのはごく稀有なことかもしれない。しかし、世に生まれたのであれば一度はそう思いたい。

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